研究課題/領域番号 |
22791240
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
遠藤 洋子 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 研究員 (20359300)
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キーワード | 癌細胞初代培養 / 放射線感受性試験 |
研究概要 |
我々の研究室では、大腸がんにおいて新しい癌細胞初代培養法を確立し、「Cancer Tissue Originated Spheroid(CTOS)法」と名付けて報告した(Kondo2011PNAS)。この方法は、癌手術検体を機械的、酵素的に分散させて癌細胞塊を回収し、浮遊培養するもので、pureながん細胞を効率よく初代培養することができる。この方法で得られたCTOSは、in vitroで増殖することが可能で、またマウス移植腫瘍はオリジナルの患者検体と同様の構造を示す。本研究では、このCTOS法を他のがん種に応用し、CTOSを用いた放射線感受性試験を確立することを目的としている。 昨年度までに、肺がんCTOSの培養系を確立し、数種類の初代培養細胞を用いて放射線感受性を比較した。この中から、放射線感受性の異なる2種類の検体を選び、in vivoの治療実験を行った。その結果、in vivoの放射線治療効果は、in vitroの放射線感受性をよく反映していることが示された。つまり、CTOSを用いた放射線感受性試験が、患者における治療効果を予測する一助となる可能性が示された。 今年度は、子宮頸がんのCTOSを用いて放射線感受性試験を行った。子宮頸がんの中でも希少な小細胞がん3例の放射線感受性を比較すると、患者間で差が認められた。今後、感受性に差がみられる検体の間で遺伝子発現の変化を比較し、放射線感受性予測のバイオマーカーを探索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺がん、子宮頸がんでCTOS培養法が確立し、放射線感受性のデータも蓄積されてきた。
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今後の研究の推進方策 |
子宮頸がんで放射線感受性の異なる検体が得られたため、これらを用いて放射線照射後の遺伝子発現の変化を調べ、放射線治療効果を予測するバイオマーカーを探索する。 また、CTOSの3次元培養環境を利用して、低酸素標的radio sensitizerの効果などを検討する。
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