研究課題
生体肝移植での虚血再還流障害を炎症と凝固・抗凝固因子に着目して①ラットを用いた虚血再還流モデル②生体肝移植後の臨床検体での凝固・抗凝固因子の解析を行った。①抗凝固因子のトロンボモジュリン(TM)は抗凝固作用と抗炎症作用を有するため、肝保護効果が期待される。移植肝の虚血再還流障害に対する、組み換えヒト可溶性TM(rhsTM)の肝保護効果について検討した。Wistarラットにて70%肝切除後残に血行遮断を20分間行い、再還流した。手術30分前にrhsTMを1mg/kgにて静注し、対照群は生食投与とした。rhsTM群にて、肝逸脱酵素値は、術後6・12・24時間のいずれも対照群に比較して有意に低値であった。術後6時間目のED-1免疫染色では、ED-1陽性細胞はrhsTM群で有意に少なかった。24時間後のTUNEL assayではrhsTM群にてTUNEL陽性細胞は有意に少なかった。12時間後のPCNA免疫染色ではrhsTM群でPCNA陽性肝細胞数を多く認めた。以上より、rhsTMは虚血再還流障害においてrhhTMは肝細胞保護作用、抗炎症作用を有し、肝再生を促す可能性が示唆された。②生体肝移植の術後14日目の血小板値、VWFとその特異的切断酵素のADAMTS13に注目した。移植後14日目の血小板値が10万以上(HP群)と10万未満(LP群)に分類し血漿中ADAMTS13活性とVWFも測定した。術後半年後生存率はLP群で61%とHP群の93%に比較して有意に不良であった。ADAMTS13活性はHP群にて低値であった。VWF/ADAMTS13の比はLP群が有意に高値であった。術後14日目の血小板値が術後14日目のADAMSTS13の独立因子となった。以上より生体肝移植後に血小板低値が継続することは、類洞内皮細胞障害によるADAMTS13の減少が関与することが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Int J Hematol.
巻: 99 ページ: 418-428
10.1007/s12185-014-1543-9
Transplantation proceedings
巻: XX ページ: in press