研究課題
本研究は、当研究室で開発したナノ分子粒子(人工ウイルス)に抗癌剤を内包し、同じく我々が開発した癌特異的分子を付加した癌選択的抗癌剤内包型新規機能化人工ウイルスを作成し、抗癌剤と新規Drug Delivery System (DDS)を融合した、固形癌に対する新しい治療戦略を開発することが目的である。昨年度我々は、新規癌特異的抗癌剤内包型多機能化人工ウイルスを作成し、また新規人工ウイルスの形態評価及びin vitroにおける機能評価を行っていた。in vitroにおける膵癌細胞株と正常細胞の比較実験において、人工ウイルスが膵癌細胞株に特異的に取り込まれることが確認され、また一定の治療効果を有することが確認されたため、本年度はin vivoにおける新規癌特異的抗癌剤内包型多機能化人工ウイルスの機能評価を行い、さらに、臨床検体由来の癌細胞移植マウスモデルを用いて新規人工ウイルスの治療効果を検討した。マウス癌皮下移植モデルにおいて新規人工ウイルスを静注し、癌組織中および非癌組織中への移行率を経時的に検討し、GEMの組織内濃度を測定、人工ウイルスの血行動態を確認した。さらに、微小癌マウスモデルを用いて、微小癌細胞への選択性を評価した。多方面からの検討として手術切除標本よりソートした癌病変を新規免疫不全マウス(NOGマウス)に移植し、humanized carcinogenesis mouse modeを作成し、前臨床試験として癌病変に対する新規人工ウイルスの治療効果を検討した。本研究では、B/T細胞だけでなくNK細胞まで不活化されている新規免疫不全マウスを使うため癌病変をマウスモデルとして再現でき、申請者らは本マウスへの癌細胞・正常細胞の移植に成功した。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Anticancer Res
巻: 31(4) ページ: 1279-88
Cancer science
巻: 102(2) ページ: 484-91