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2011 年度 実績報告書

消化器癌の癌免疫機構における免疫補助刺激分子の臨床的意義と新たな臨床応用への展開

研究課題

研究課題/領域番号 22791256
研究機関鹿児島大学

研究代表者

有上 貴明  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (40527058)

キーワード癌免疫機構 / T細胞性免疫応答 / B7 ligand family / 腫瘍マーカー / B7-H3 / B7-H4
研究概要

癌免疫機構におけるT細胞性免疫応答に関連し,近年注目されているB7 ligand familyの中で,特にB7-H3およびB7-H4に着目し,胃癌臨床検体を用いてこれらの発現と病理学的背景および予後との関係について検討し,B7-H3およびB7-H4発現の臨床的な意義について解析した。切除胃癌95例の術前末梢血液を対象とし,コントロールとして胃癌細胞株および健常者の末梢血液検体を使用した。B7-H3 mRNAの発現は定量RT-PCR法により評価した。胃癌細胞株全例において発現は認められ,胃癌患者における発現は健常者に比較し,明らかに高値であった(P<0.0001)。臨床病理学的因子との関係ではB7-H3高発現群は有意にステージと相関していた(P=0.013)。また高発現群の予後は低発現群に比較し,明らかに予後不良であり(P=0.02),多変量解析ではリンパ節転移と共に独立した予後因子の一つであった(P=0.046)(Cancer sci : 2012)。次に切除胃癌120例の原発巣におけるB7-H4発現を免疫染色にて評価した。高発現群は31例(25.8%)に認められ,臨床病理学的因子との関係ではB7-H4高発現群は有意にステージと相関していた(P=0.04)。また高発現群の予後は低発現群に比較し,明らかに予後不良であり(P=0.001),多変量解析では唯一の独立した予後因子であった(P=0.035)。さらにCD3抗体による免疫染色を用いた腫瘍浸潤Tリンパ球数との関係では逆相関が認められ,免疫応答を抑制している可能性が示唆された(World J Surg : 2012)。これらの結果より,胃癌におけるB7-H3およびB7-H4の発現は,癌の悪性度や予後を予測する上で有用な指標となり,新たな免疫療法のターゲットとなる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

主たる研究テーマである免疫補助刺激分子のB7-H3およびB7-H4について胃癌の切除原発巣および血液等の臨床検体を用いて,これらの発現の臨床的意義を解明し,学会発表およびoriginal articleとして論文発表をすることができた。

今後の研究の推進方策

今後はsiRNAを導入し,免疫補助刺激分子の発現を特異的にノックダウンさせた細胞株を作成後,免疫不全マウスモデルを用いてin vivioでの腫瘍細胞の増殖能や浸潤能などを評価し,これらの免疫補助刺激分子の機能的役割について検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] B7-H3 expression in gastric cancer : A novel molecular blood marker for detecting circulating tumor cells2011

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Arigami
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 102 ページ: 1019-1024

    • DOI

      10.1111/j.1349-7006.2011.01877.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical significance of the b7-h4 coregulatory molecule as a novel prognostic marker in gastric cancer2011

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Arigami
    • 雑誌名

      World Journal of Surgery

      巻: 35 ページ: 2051-2057

    • DOI

      10.1007/s00268-011-1186-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular Properties of Lymph Node Micrometastasis as an Important Therapeutic Target in Gastric Cancer2011

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Arigami
    • 雑誌名

      Recent Advances and Research Updates

      巻: 12 ページ: 227-243

  • [学会発表] 胃癌におけるB7-H4発現の血中遊離癌細胞検出マーカーとしての有用性と臨床的意義について2011

    • 著者名/発表者名
      有上貴明
    • 学会等名
      第9回日本消化器外科学会大会(JDDW 2011)
    • 発表場所
      マリンメッセ福岡(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2011-10-22
  • [学会発表] A Novel Molecular Blood Marker for Detecting Circulating Tumor Cells2011

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Arigami
    • 学会等名
      The International Surgical Week (ISW) 2011
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2011-08-30
  • [学会発表] 胃癌における新規バイオマーカーを用いた腹水中腫瘍細胞検出の試みと臨床応用2011

    • 著者名/発表者名
      有上貴明
    • 学会等名
      第66回日本消化器外科学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋市)
    • 年月日
      2011-07-15
  • [学会発表] 胃癌における新規予後マーカーとしてのB7-H4発現の臨床的意義2011

    • 著者名/発表者名
      有上貴明
    • 学会等名
      第111回日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      東京都(誌上開催)
    • 年月日
      2011-05-26
  • [図書] 外科治療2011

    • 著者名/発表者名
      有上貴明
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      永井書店
  • [図書] 消化器外科臨時増刊号2011

    • 著者名/発表者名
      有上貴明
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      へるす出版
  • [図書] 臨床外科2011

    • 著者名/発表者名
      有上貴明
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      医学書院
  • [備考]

    • URL

      http://www.rdc.kagoahima-u.ac.jp/rdc/search/upload/natugoe-Med.pdf

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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