我々は、HDAC阻害剤vorinostatが、ヒト乳癌細胞MDA-MB-231へCaspase-3活性化によるアポトーシスを誘導し、その過程においてp38MAPKが必須であることを報告した。近年、miRNAの発現異常が様々な癌細胞で見出され、増殖、浸潤、転移への関与が報告されている。我々は、HDAC制御を介した癌抑制におけるmiRNAの関与を検討するために、vorinostat誘導miRNAの同定とその機能解析を試みた。miRNAアレイによるスクリーニングの結果、vorinostat処理MDA-MB-231細胞において、顕著な発現上昇をみる18種のmiRNAの同定に成功した。さらにreal-timePCRによる解析の結果、miR-148aの顕著な発現上昇を確認した。MDA-MB-231細胞へのmiR-148aの導入により、運動能・浸潤能の抑制、ならびにvorinostatへの感受性の増大が確認された。以上の結果より、miR-148aが乳癌抑制遺伝子として機能している可能性が示唆された。
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