予後不良乳癌ではErbB2およびErbB3からなるヘテロダイマーの発現が頻繁に認められ、乳がん悪性化形質発現に機能している。ヘテロダイマーを分解しシグナル停止する受容体輸送・分解系の不活性化が乳がんの悪性化に関与する可能性を調べた。ヘテロダイマー発現細胞を構築し、定常状態およびNRG1β刺激下におけるErbB3の分解経路について、プロテアソーム系またはリソソーム系のいずれかによって分解されるか検討した。ErbB3の分解は、定常状態ではプロテアソーム系およびリソソーム系の双方が、NRG1β刺激ではプロテアソーム系で分解をうけた。分解酵素候補遺伝子について、多数のユビキチン化酵素(E3)の関与を検討した。Nrdp1に加えて、さらに2種のE3の関与が判明した。一方、ErbB3の各種変異体を多数作成したところ、細胞質内でチロシンキナーゼ部位よりC末側の約100アミノ酸が分解に必要であることがわかった。
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