「研究の目的」本研究は、成人間生体部分肝移植において、グラフトにうっ血を伴った場合でもグラフトの再生を改善させる検討を目的としている。 「研究実施計画」はじめに、前年の平成22年度の計画とした 1.ラットの生体部分肝移植モデル(40%のグラフト)を確立する 2.1.で生体部分肝移植のモデルが確立されたら、部分的なうっ血を伴うグラフト(中肝静脈の右枝領域のうっ血)を使用してグラフトの再生を検討する ことであったが、これに難渋した。 しかし、これらの検討の前段階として60%肝切除後の残肝にうっ血を伴う場合の肝再生が遅れることを確認し、それに対して術前にG-CSF投与を施行して肝再生が促進される成果を報告してきたため、さらに引き続いて平成23年度には引き続きうっ血を伴わない全肝グラフトを用いた生体肝移植を継続して施行した(ドナーとレシピエントの体重(肝重量)の調整)。うっ血を伴わない全肝グラフトを用いた場合は少数ではあるが生存例が得られるようになったが、再建血管のトラブルにより肝壊死に陥った死亡例がほとんどであった。生存例でも、犠死時には部分的な再建血管閉塞の影響と考えられる変化(病理組織学的には残肝のGlisson支配領域により壊死部分:HE染色で確認や、肝再生:PCNA labeling indexの高値が確認される部分があり)が確認された。移植した全肝の全葉に壊死を伴わない再生を得られた症例が少なく、ratの生体部分肝移植モデルの確立に非常に難渋し、モデルの作成を継続している。
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