1.臨床試験検体を用いた解析について 「MAGE-A4抗原特異的TCR遺伝子導入リンパ球輸注による治療抵抗性食道癌に対する遺伝子治療臨床研究」を開始した。遺伝子改変T細胞輸注療法を施行した患者を経時的に採血し、末梢血中の遺伝子導入T細胞の経時変化についてi)ウイルスベクターのDNAに対するPCR法およびii)in vitroにて抗原ペプチドで刺激後テトラマー解析にて検討した。遺伝子導入/抗原特異的T細胞は輸注105日後も検出可能であった。 2.動物モデルにおける検討について i)in vitroにおけるマルチファンクション性T細胞の誘導には、CD4+ヘルパーT細胞の存在が重要であること、この機構がIL-2を主体とした液性因子によるものであることを解明した。マルチファンクション性T細胞は細胞表面の生存性に関わる分子の発現が増強していること、またin vivoでの生存性が長いことを解明し、マルチファンクション性T細胞が移入療法において重要であることを示した。 ii)TCRトランスジェニックマウス由来のTCRα鎖とβ鎖を組み込んだレトロウイルスベクターを作製した。このレトロウイルスベクターをマウスリンパ球に感染させて遺伝子導入を行う方法を検討し、効率よく導入可能となった。さらにTCR遺伝子導入T細胞のin vitroにおける抗原特異的なIFN-γ産生を確認した。
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