研究課題
1.臨床試験検体を用いた解析についてH23年度は遺伝子改変T細胞輸注療法に3例の患者に対して遺伝子改変T細胞輸注療法を施行し、前年度までの1例とともに解析を行った。ウイルスベクターのDNAに対するPCR法による末梢血中の遺伝子導入細胞の動態については、輸注後1日から14日でピークとなり、最長10ヶ月間検出可能であった。in vitroにて抗原ペプチドで刺激すると、テトラマー陽性の抗原特異的T細胞が検出でき、これはMAGE-A4陽性腫瘍を認識した。また食道原発巣の病変が存在した1例では、輸注後35日目の腫瘍部の生検検体からウイルスDNAが検出され、輸注細胞の腫瘍局所への浸潤が確認された。2.動物モデルにおける検討についてi)T細胞受容体トランスジェニックマウスを用いた検討において、マルチファンクション性T細胞はbcl-2を高発現し、活性化カスパーゼ3の発現が低い抗アポトーシス性であり、輸注後の抗腫瘍効果が高いことを見出し、輸注T細胞のマルチファンクション性は輸注T細胞の生存性や治療効果の感度の高い指標となることを明らかにした。ii)輸注療法における前処置の効果について検討した。放射線照射またはシクロフォスファミド投与により、輸注細胞がhomeostatic expansionをおこす環境をつくると、抗腫瘍効果が増強し、輸注細胞のマルチファンクション性が増強することを示した。iii)H22年度に作成したベクターについてin vivo実験を行った。非担癌マウスに遺伝子導入細胞を輸注した場合の生存性は、遺伝子導入細胞の調整方法(刺激方法・培養期間)やホストの前処置により大きく変わることを見出した。生存性がよかった条件で、担癌マウスに輸注したところ、抗腫瘍効果が認められた。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Cancer Sci
巻: 103 ページ: 17-25
10.1111/j.1349-7006.2011.02111.x
http://www.shikuken.jp