研究概要 |
(1)初期内胚葉マーカーに対するレポーターベクターの作成 ヒトalpha-fetoprotein enhancer/promoter領域をハイブリッドプロモーターとしてEGFPを発現するプラスミドベクターを完成させた.これをヒト肝細胞癌株へ遺伝子導入することによって,AFP産生細胞がEGFP蛍光を発することを確認できている. (2)上記レポーターベクター遺伝子導入ヒトiPS細胞の作成 このAFP-EGFPプラスミドベクターをヒトiPS細胞へとリポフェクション法を用いて遺伝子導入を行っている.遺伝子導入効率が低く安定導入株をいまだ得ることはできていないが,今後も実験を継続していく予定である. (3)マウス胎仔肝由来間葉系細胞株MLSgt20細胞の培養およびヒトiPS細胞との共培養 我々は以前にマウス胎仔肝曲来間葉系細胞であるMLSgt20細胞を樹立し,これがマウスおよびヒトES細胞を機能性肝細胞へと分化成熟化させる事を報告して来た.この細胞培養技術をヒトiPS細胞へも応用することを目的としてMLSgt20細胞の培養を開始した.平面培養,3次元培養などを試みて肝細胞機能を有する内胚葉細胞へと成熟化させる実験を行っている. (4)ヒト間葉系幹細胞から内胚葉細胞へと分化誘導する実験 ヒトiPS細胞だけではなくヒト間葉系幹細胞から内胚葉分化を試みる実験を並行して行っている.既に細胞外基質ならびに増殖因子の添加によりRT-PCRと免疫染色にて内胚葉分化に成功している事を確認できた.この内胚葉分化細胞を肝障害を加えた免疫不全ラットへ移植したところ,ごく少数ながらラット肝臓内にヒトアルブミンを産生する肝細胞様細胞を認めた.
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今後の研究の推進方策 |
一時期,安定してヒトiPS細胞を培養できないことがあった.未分化状態を維持できず,尚かつ内胚葉分化効率が悪かった.培養の手順や培養に用いる試薬や血清などを見直して解決した.この時,内胚葉細胞へと分化するための細胞源としてヒトiPS細胞だけではなくヒト間葉系幹細胞を用いる実験を並行して行った.今後もヒト間葉系幹細胞から内胚葉細胞へと分化誘導を行う実験を継続する予定である.
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