研究概要 |
NELF (negative elongation factor)はRNA polymeraseHによる転写伸長を阻害することで、転写を調節するが、RDBP(RDRNAbindingprotein,別名NELF-E)はNELFのsubunitの1つで、この転写制御で重要な役割を演じる蛋白である。、我々は平成22年度にRDBPはHCV陽性肝細胞癌(以下HCV-HCC)においてmRNAおよびタンパクレベルの発現解析を行い、HCV-HCCでRDBP発現が上昇し、脱分化、腫瘍の増殖、門脈浸潤と関与していることを見出した。今回、肝癌細胞株におけるRDBPの機能解析および発現制御の機序を検討した。 肝癌細胞株のHLE、SK-hep、HepG2、Hep3B、Huh-6、Huh-7からタンパクを抽出し、Westernblotにて最もRDBPタンパクの発現が高かったHLEを用いて機能解析をおこなった。HLEにsiRNAによるKnockdownを行い、MTS assayによる細胞増殖解析およびinvasion assayを行った。RDBP knockdown株はMTS assayにて有意な増殖能の低下を認め、(p<0.05)、invasionassay.にて有意な浸潤能の低下を認めた(p<0.05)。またHCC摘出標本から抽出したDNAのRDBPプロモーター領域のメチル化状態とRDBP発現量の検討を行ったが相関は認めず、RDBPの発現制御にメチル化は関与していないと思われた。 これらの結果からRDBPは細胞増殖および浸潤に関与しており、HCV-HCCの分子標的となりうる可能性が示唆された。
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