生体肝移植では肝内に発生したHCCは摘出され、術中操作に伴う微小なHCC播種や既に肝外に存在する微小なHCCに対する抗腫瘍効果を追求する事が必要となる。そこで、より臨床に即したモデルを用いた。IL-12/DC併用療法、免疫抑制剤の開始は同様で、Day9に原発腫瘍を切除し、強制的に5.0×10^5個のMH134肝癌細胞を静脈内投与して、Day28における肺及び肝の微少転移に対する転移抑制効果を検討した。肺転移はIL-12単独群では3例中3例(100%)に、DC単独群では3例中2例(67%)に、コントロール群では3例中3例(100%)に認めた。肝転移はIL-12単独群では3例中3例(100%)に、DC単独群では3例中3例(100%)に、コントロール群では3例中3例(100%)に認めた。IL-12/DC併用群では、免疫抑制下においても、肺及び肝転移は認めなかった。この結果から、IL-12/DC併用療法はHCCに対する生体肝移植後の新しい治療法として期待できると考えられた。また、免疫抑制下におけるIL-12/DC併用療法では、どの細胞が主なeffecter細胞として働くのか、CD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞、NK細胞に対する抗体除去実験を施行した。IL-12/DC併用療法下では、CD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞、NK細胞のいずれを除去しても原発MH134腫瘍の増殖抑制が無効となり、肺及び肝転移に対する抗転移効果が消失した。肺及び肝転移共に、CD8陽性T細胞除去群、CD4陽性T細胞除去群、NK細胞除去群の全てで3例中3例(100%)に認められた。この所見から、IL-12遺伝子治療を併用した腫瘍内DC投与療法では、T細胞の反応が増強され、IL-12/DC併用免疫療法による局所での腫瘍増殖抑制、抗転移効果はT細胞及びNK細胞の反応の相互作用に依存していると考えられた。(791字)
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