我々はこれまで、新規アダプター蛋白XB130をクローニングし、その機能解析により、甲状腺癌・肺癌細胞株における細胞周期・アポトーシス制御機構を明らかにしてきた。本研究では、胃癌・食道癌におけるXB130の機能解析・臨床病理学的意義の検討を試みた。その結果、c-Mycやp21を介するG1/Sチェックポイント制御機構が存在する可能性を見出し、細胞周期におけるXB130の新たな機能を解明した。また、胃癌・食道癌患者の手術標本の免疫組織化学により、XB130の核内での高発現が、独立した予後因子となることを解明した。これらは、上部消化器癌におけるXB130の分子マーカーとしての可能性を示すと共に、XB130を分子標的とした新たな腫瘍制御概念を構築するきっかけとなる成果と考えられる。
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