【目的】腫瘍微小環境におけるTh1/Th2/Th17/Tregの免疫バランスと相互作用を明らかにすることで、腫瘍が構築する抗腫瘍免疫からのエスケープメカニズムを解明するとともに、将来に向けての胃癌に対する新規免疫療法を開発することを目的とした。 【方法】 マウスは6週-8週齢、メスのC57BL/6マウスとBALB/cマウスを使用。Cell lineとしてMC38(C57BL/6 mice colon cancer)、CT26(BALB/C mice colon cancer)を使用し5×105個/PBS100μLを右側腹部の皮下に接種。抗Treg抗体1μg/PBS50μLをDay5から3日毎に、腫瘍内に局所投与。また、mIL-17A-shRNAをアテロコラーゲ(AteloGene:KOKEN)と混合し、Day5、Day8にと腫瘍内に局所投与する。PBS投与群を抗Treg抗体投与群のコントロール、SNC投与群をmIL-17A-shRNA投与群のコントロールとして、同様のスケジュールで投与する。つまり、(1)抗Treg抗体群、(2)PBS群、(3)mIL-17A-shRNA群、(4)SNC群、(5)抗Treg抗体+mIL-17A-shRNA群の5群で腫瘍増殖曲線を検討。 【結果】抗Treg抗体群、mIL-17A-shRNA群、抗Treg抗体+mIL-17A-shRNA群は有意にコントロールのPBS群、SNC群と比べて腫瘍増殖抑制効果を認めた。さらに、抗Treg抗体+mIL-17A-shRNA群は抗Treg抗体群、mIL-17A-shRNA群と比べて有意に腫瘍増殖抑制効果を認めた。 【考察・結語】 Tregの抑制、IL-17の抑制は腫瘍増殖抑制効果を示し、両方の抑制は相乗的な腫瘍増殖抑制効果を認めた。今後はTh1/Th2/Th17/Tregバランスを含め、そのメカニズムについて検討する予定である。
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