悪性腫瘍や良性疾患による閉塞性黄疸例に対し、しばしば胆管ステントによる治療が行われているが、その欠点として細胞増殖によるステントの再狭窄がある。本プロジェクトでは小動物においてステント内にtumor ingrowthするモデルを作成し、超高性能高周波磁界発生装置と非接触型温度センサーを用いて、温度制御化で腫瘍増殖によるステント閉塞に対する温熱療法を施行することを目的として実験を進めている。 本年度は、東工大との共同研究により高周波磁界発生装置の作製、性能確認を行った。具体的には、8mm程度の深さを想定し、フェライトコア付き高効率コイルを利用した高周波磁界発生装置を用いて発熱を確認した。さらにB5サイズの超小型電源が実現可能であることをシュミレーションで示し、全身ハイパーサーミア用の電源が実現可能であることを確認した。また動物モデルでは、ヌードマウス及びヌードラットを用いて腫瘍によるステント閉塞モデルの作製を行った。具体的には、マウス及びラットの皮下に類上皮癌細胞A431を接種し、一定程度腫瘍が成長したところで腫瘍内部を核出し、ステントを留置した。ステントは臨床で多く用いられているナイチノールステントを切断したものを利用した。ステント留置後3日目、あるいは7日目でマウスあるいはラットを犠死させ、サンプルはホルマリンにて固定した。ステント閉塞標本は腫瘍をステントごと樹脂包埋し、切片を研磨、HE染色することによって作製した。
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