研究概要 |
本研究は、骨髄由来平滑筋前駆細胞を標的とし、超音波・遺伝子封入ナノバブル法を用いて、病的血管リモデリングに対する遺伝子治療効果を実験的に検討することを目的とした。 具体的には、血管形成における主要な分子メカニズムであるアンギオポイエチン-1/チロシンキナーゼ型レセプターシステム(以下、Ang-1/TIE2)を標的とし、超音波造影剤に含まれるナノバブルの内部へ遺伝子工学的に作成したTIE2-Ig遺伝子を封入したものを目的部位へリリースし、超音波のキャビテーション作用によりバブルを破壊することで血管内腔から血管内皮細胞へ効率的に遺伝子導入を行う。遺伝子導入された血管内皮細胞がその部位でTIE2-Igタンパクを高発現・高分泌させることで、骨髄由来の平滑筋前駆細胞から産生されるAng-1を競合的に阻害し、病的血管リモデリングを制御できるか否かを検討することである。本研究は、血管形成術後再狭窄、バイパス術後グラフト狭窄などの病的血管リモデリングの根本的な予防および治療法につながるものでると考えられる。 本年度は、in vitroにおける遺伝子導入および導入遺伝子発現の確認を行った。既存のGFP遺伝子をin vitroにて超音波遺伝子導入法によりCOS細胞へ導入し、その遺伝子発現をELISA法、蛍光顕微鏡下で確認した。 現在、TIE2-Ig,TIE2-GFP遺伝子の構築およびナノバブル内への遺伝子封入・作製に関し検討中であり、また今後はin vivoでの効果・発現実験を行う予定である。
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