研究課題
腫瘍選択的に制限増殖する遺伝子改変アデノウイルス製剤を用いたがんウイルス療法は、癌細胞にオートファジーを主体とする細胞死を誘導して強力な抗腫瘍活性を示す。しかし、腫瘍融解アデノウイルスによるオートファジー細胞死の誘導分子機構は未だ不明である。本研究では、我々が独自に開発したテロメラーゼ活性依存的に腫瘍特異的な細胞死を誘導するアデノウイルス製剤OBP-301を用いて、がんウイルス療法によるオートファジー細胞死の誘導機構におけるマイクロRNAを主体とする遺伝子制御ネットワークの存在を明らかにする事を目的とした。本年度は、まずOBP-301の基本骨格をなす正常5型アデノウイルス(Ad5)を用いて、OBP-301感受性ヒト肺癌細胞株H1299、A549へ感染させた場合にOBP-301よりやや弱いながらも、同様に細胞障害活性とともにオートファジー関連因子(LC3-II/LC3-I比、Atg5、p62)やマイクロRNA-7の発現変化を確認した。Ad5感染後のH1299、A549細胞は、OBP-301感染時と同様にE2F1の発現増強やEGFRの発現低下も認めた。しかし、OBP-301抵抗性T.Tn、NHLF細胞は、OBP-301と同様にAd5感染後も変化はほとんど認めなかった。OBP-301抵抗性T.Tn細胞は、OBP-301感受性H1299、A549細胞と同様にウイルス受容体の発現やテロメラーゼ活性を認めたが、OBP-301やAd5の複製効率は正常NHLF細胞と同程度に非常に低下していた。一方、T.Tn細胞のEGFR発現量は、H1299、A549細胞より約6倍高く、EGFR siRNAによる細胞生存率の低下にやや抵抗性を示した。以上の結果から、Ad5由来のE1A遺伝子の活性化に伴い、E2F1-マイクロRNA-7-EGFR経路が誘導され、オートファジーが誘導されている可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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