本研究の目的は、メバロン酸回路阻害薬であるロバスタチンを用いて、その抗腫瘍効果・オートファジー誘導機序を明らかにすることである。 【ロバスタチンの殺細胞効果】ロバスタチン10μMはヒト悪性胸膜中皮腫ACC-MESO1細胞のcell viabilityを40%低下させ、その効果はメバロン酸回路代謝産物であるGGPPの同時投与で完全にレスキューされた(MTTアッセイ)。 【ロバスタチンの遊走・浸潤抑制効果】Wound healing assayにてロバスタチン10μMは投与48時間後にACC-MESO1細胞の遊走を有意に抑制し、その効果はGGPPの添加でレスキューされた。 【ロバスタチンのオートファジー誘導効果】ロバスタチン投与によってACC-MESO1細胞に細胞死が起きているにも関わらず、代表的なアポトーシス評価法でアポトーシス誘導を認めなかった。一方、ロバスタチン10μM投与48時間後に、ウェスタンブロットにてLC3BII(オートファジーのマーカー)の有意な増加と、GGPP添加によるレスキューを認めた。またオートファジー阻害薬の同時投与によりロバスタチンの殺細胞効果は有意に抑制された。さらに電子顕微鏡的検討によりロバスタチン10μM投与により、ACC-MESO1細胞内にオートファゴソームが形成されていることを確認した。ロバスタチンによる細胞死はオートファジー細胞死である可能性が高い。 【メバロン酸回路阻害薬のオートファジー誘導機序】オートファジー誘導機序については、各シグナル経路をウェスタンブロットで検討した。ロバスタチンを投与したACC-MESO1細胞ではmTORおよびその下流因子のリン酸化状態に変化はなかった。 ロバスタチンの抗腫瘍効果がオートファジーによるものであること。さらに、その誘導機序がmTOR independentであることがこれまでに明らかになった。
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