大腸癌の肺転移は時に切除の対象となるが、その手術適応に関しては有効な新規抗癌剤や分子標的剤が登場した現在もなお古典的な規準(Thomfordら)が用いられている。本研究は、大腸癌肺転移症例における末梢血液中循環腫瘍細胞(CTC)や内皮細胞(CEC)のバイオマーカーとしての意義を検討し、CTC/CECの肺転移巣切除の適応や手術時期の決定における臨床的有用性を明らかにする、ことを目的とする。同時に新規CTC検出システム開発(遺伝子発現を指標とした間接的証明法)にも取り組み、臨床的有用性の向上を試みる。 今回、結腸直腸癌肺転移に対し手術を予定している患者に対して循環血液中腫瘍細胞(CTC)が今まで予後予測因子になる可能性について検討を行った。またCTCが肺転移に対する切除における切除基準の一つとなる可能性についても検討を行っている。現在、62症例集計しそのうち45人が対象となっている。45例中9例(20%)においてCTCを認めた。また45例中27例で結腸直腸癌の再発や転移を認め、そのうち9例が原病死となった。CTCの分布は0個が36人で1個が5人、2個が3人、6個が1人であった。CTC値と無再発生存期間や予後との明らかな相関は認めていない。しかしながらCTC値が高値であることが、結腸直腸癌肺転移に対する手術の除外基準となる可能性があり、現在検討中である。
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