研究概要 |
【目的】これまでにMorphometryを応用し,ROC曲線から悪性度分類における基準値の定量化に成功し2010年Cancerに報告している.この方法論を応用し,少ない検体でも細胞診を併用することにより良悪の鑑別と悪性度判定を可能にすることを目的とする.【方法】気管支鏡下及びCTガイド下肺生検にて得られた検体をプレパラートに捺印,あるいは穿刺吸引の場合は吹きつけし標本を作製する.我々は,迅速診断を行っており,得られた検体はすぐに迅速パパニコロウ染色し検体量及び標的病変から採取されているかについて判断し,肺腺癌ともしくは陰性と診断された標本を対象とし,鉗子又は針洗浄液QIAGEN QIAamp[○!R] DNA Micro Kit(50)を用いて検体からDNAを抽出し,SmartAmp[○!R] EGFR Mutation Detection Test Kit(DNAFORM)を用いて,リアルタイムPCR装置(BIO-RAD・CFD3120,Mini Opticon)を用いて,等温増幅反応させた.診断が済んだプレパラートはNanoZoomer^R Digital Pathology system(Hamamatsu Photonics K.K.)によりデジタル化しNDP.view(ver.1.1.8β)を使用し核の面積を測定する.陽性で肺腺癌と診断された症例と陰性症例でROC曲線を描き,感度が75%定度でカットオフ値を定める.【結果】これまでに気管支鏡検査85例,CTガイド下針生検32例の117例が行われ,うち42症例が細胞診で陽性であった.陽性症例のうち,37例が腺癌,5例が非腺癌であった.SMAP法と他法(PNA-LNAPCR-Clamp法またはPCR-Invader法)を同一検体で行った28例で結果は同一であった.陽性が5例で,陰性が23例,陽性例はL858Rの変異が3例,エクソン19のderationは2例であった。またこれら,変異を有する腫瘍細胞の核面積は78.5um^2(±14.3)であった,【途中経過のまとめ】SMAP法は高感度であることから,少量の癌細胞が存在すれば遺伝子変異が検出でき,迅速で簡便であることからスクリーナーの日常検査としても有効な一手段と考えた.また,EGFR変異を有する症例は腺癌の17.8%と一般の報告(25~50%)と比較して変異頻度が少ない傾向が見られたが,これが細胞量の検出感度の問題かどうかは,今後の課題としたい.変異を認めない腫瘍細胞の核面積は現在,計算中であり,最終結果に報告する.
|