薬物の脳内局所投与による新しいてんかん治療システムを開発することを目的に研究を行った。 Convection enhanced delivery (CED)は脳内に留置したカテーテルから緩徐に注入することによって薬剤を高濃度で広い範囲に到達させる方法である。CEDに適した水溶性の抗てんかん作用薬としてLevetiracetamを用いた。 1.健常ラットを用いたLevetiracetam CEDの安全性:0から1000μMまで5段階の濃度について、健常ラットの一側海馬に対してCED法でLevetiracetamを注入した。4週間まで神経学的スコアと体重を観察したが、スコアは術2日目までに完全回復し、その後の体重増加に影響しなかった。CEDに伴う海馬の組織学的損傷は認められなかった。 2.ラット急性けいれんモデルにおけるてんかん活動の抑制効果:ケタミン麻酔下のラット海馬に対してTetanus toxinを投与して急性けいれんモデルを作成した。脳波電極と組み合わせたCEDカニュラを用い、脳波測定下にLevetiracetam CEDを行った。Levetiracetam 100μM(5μl)を10分かけて投与したところ、単位時間当たりのてんかん棘波頻度は投与前に比べて有意に低下した。 今年度の研究結果から、Levetiracetam CEDの安全性とてんかん抑制効果が明らかになり、低侵襲的な新しいてんかん外科治療の可能性が示された。従来の脳神経外科手術では機能障害が予想される患者に対する新しい治療選択として重要な方法になると思われる。今後は臨床応用へ向けて慢性実験における安全性と有効性を検討する予定である。
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