薬物の脳内局所投与による新しいてんかん治療システムを開発することを目的に研究を行った。 Convection enhanced delivery(CED)は脳内に留置したカテーテルから緩徐に注入することによって薬剤を高濃度で広い範囲に到達させる方法である。CEDに適した水溶性の抗てんかん作用薬としてLevetiracetamを用いた。 今年度は、新しい海馬の誘発けいれんモデルを用いて、Levetiracetam CEDの効果を検討した。新しいモデルは、光感受性イオンチャネルを導入した遺伝子改変ラットの脳内に光ファイバーを導入し、海馬に間欠的光刺激を与えることで、任意に再現性良くヒトに類似したてんかん発作を誘発できる。ケタミン麻酔下のラット海馬に光ファイバーと脳波電極を組み合わせたCEDカニュラを挿入し、脳波測定下にLevetiracetam CEDを行った。CED開始前と開始後でてんかん発作の誘発確率と持続時間を比較した。Levetiracetam 100μM(5μl)を10分かけて投与したところ、てんかん発作の誘発確率と持続時間が有意に低下した。 今年度の研究結果から、Levetiracetam CEDにてんかん発作自体に対する抑制効果が明らかになり、低侵襲的な新しいてんかん外科治療の可能性が示された。従来の脳神経外科手術では機能障害が予想される患者に対する新しい治療選択として重要な方法になると思われる。今後は臨床応用へ向けて慢性実験における安全性と有効性を検討する予定である。
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