悪性神経膠腫に対する有効な治療法はなく、現在、生存率の改善はない。患者の延命を目的として、本研究ではWnt signal inhibitor、特にREIC/ Dkk-3の悪性神経膠腫に及ぼす作用に注目し、その機序としてWnt蛋白とREICとの相互作用に着目した。まず悪性神経膠腫におけるWntシグナルの制御を行うため、アデノウイルスにREIC遺伝子を組み込んだAd-REICを用いて細胞増殖抑制作用を確認した。その分子機構としてAd-REICによる内因性アポトーシス誘導がみとめられた。またWntシグナルにおけるREICによるWnt蛋白およびその各受容体との相互作用を調べ、Ad-REICによってWnt蛋白が遺伝子レベルで発現抑制されることや、その受容体への結合をREICが阻害することを明らかにした。さらにWnt蛋白の受容体への結合および機能に特異性があることを示し、Ad-REICによるWntシグナル抑制が悪性神経膠腫抑制に重要で、見込みのある治療法を提供する可能性を示した。現在、論文化を進めている。この結果を踏まえ臨床へのアプローチをおこなうためにin vivoでの検討を進めている
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