最近、悪性神経膠芽腫細胞の研究において、がん細胞がmRNAやmicroRNA(miRNA)やタンパク質を含むエクソソームを放出し、がんの進行に関わる可能性が報告された。我々は、ヒト脳腫瘍細胞で高発現している特定のmiRNAが、細胞傷害性T細胞(CTL)による細胞傷害の感受性を低下させ、抗腫瘍免疫応答における免疫効果相で免疫抵抗性をもたらすことを報告した。さらに、脳腫瘍患者血清から抽出したエクソソームはこのmiRNAを含んでおり、そのレベルは健常人血清に比較して有意に高く、血清miRNA検出による脳腫瘍診断開発の可能性が示唆された。また、このmiRNAを含有する脳腫瘍細胞由来のエクソソームは、樹状細胞に取り込まれ、樹状細胞上でも、T細胞活性化に重要な因子を低下させる可能性を見いだした。したがって、がん細胞由来エクソソームに含まれるmiRNAは、担がん生体の免疫抑制病態に関与する可能性がある。
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