研究概要 |
当該研究は,申請者らが見出した骨髄間葉系幹細胞(MSCs)が虚血性神経細胞死抑制し,神経細胞を保護すること,そしてその機構としてのMSCsが脳内に局在する免疫細胞であるマイクログリアと相互作用し,抗炎症作用を介して神経細胞死を抑制しているという動物実験による結果を更に詳細に解析することを主目的としている.当該年度は、アダルトマウスマイクログリア初代培養法の確立を行い,その活性化を炎症性(インターフェロンγ(IFNγ))および抗炎症性サイトカイン(インターロイキン4(IL-4))を暴露することにより同定した.さらに,神経障害モデルとして脊髄損傷モデルマウスを作成し,代表的な炎症性サイトカイン,インターロイキン1の欠損(IL-1 KO)マウスとその野生型マウスを比較検討した.またIL-1 KOマウスと野生型マウスから得た初代マイクログリア培養細胞にIFNγもしくはIL-4単独,IFNγもしくはIL-4とIL-1βを共暴露した際のマイクログリアの活性化を調べたところ,これまで炎症惹起に関わると考えられていたIL-1が抗炎症の惹起にも関与していることが明らかとなった.引き続き,マイクログリアの活性化に関し研究するとともにhMSCsがこの活性化にどのように修飾しているかの詳細を調べている. 加えて,脳虚血後のkMSCsの移植による脳梗塞抑制作用を調べた.hMSCsは多くの報告で静脈内投与するとほとんどが肺でトラップされ障害組織へ到達しないことが示されている.そこで,hMSCsの静脈内投与と総頸動脈投与後の脳梗塞を調べたところhMSCsを総頸動脈投与後すると静脈投与に比べ約1/10の細胞数で脳梗塞を有意に抑制できることが明らかとなった-
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今後の研究の推進方策 |
当該研究は,申請者らが見出した骨髄間葉系幹細胞(MSCs)が虚血性神経細胞死抑制し,神経細胞を保護すること,そしてその機構としてのMSCsが脳内に局在する免疫細胞であるマイクログリアと相互作用し,抗炎症作用を介して神経細胞死を抑制しているという動物実験による結果を更に詳細に解析することを主目的としている.昨年度はその解析のためにアダルトマウスよりマイクログリアの単離方法の確立およびその評価を行った.本年度はそれら培養細胞を用い,MSCsと共培養を試みこれまで,申請者がマイクログリア細胞株で見出した結果が初代培養細胞で再現可能であるか検証する.さらに,投与経路の異なるhMSCsで脳虚血後のマイクログリアの活性化に違いがあるか明らかにする.
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