研究概要 |
本年度は染色体14q23のSNP rs767603領域に注目して解析を行った。この領域は、我々のゲノムワイド連鎖解析で2番目に高い連鎖を認めた領域であり、米国の脳動脈瘤家系の解析でも連鎖が再現されている(Stroke 37 : 1021-1027, 2006)。さらに本邦の他研究班で行われた、現在までに報告のあった全ての連鎖領域全域での関連解析(Locus Wide Association Study)により、SNP rs767603と、このSNPを組み込んだハプロタイプで有意な関連も再現された(J Hum Genet 53 (4) : 325-32, 2008)。すなわち、我々の研究結果とあわせると異なる3集団において有意な連鎖と関連が再現されたことになる。 まず、このSNP rs767603を患者168例と対照193例でジェノタイピングし、相関の有無を検証した。Tアレル頻度が患者群で14%に対し、対照群では20%でP=0.034と前出の報告と同様の有意な差を示した。やはりこの領域には感受性遺伝子が存在している可能性が高いといえる。この連鎖と相関が再現された領域は、一つの大きな連鎖不平衡ブロックを形成している。全長は少なくとも599kbに及び、7個の遺伝子が登録されている。 そこで次に、これらの限定された領域について次世代シーケンサーターSOLiDシステムによるゲット・リシーケンシングを行った。サンプルは第14染色体連鎖領域でIdentity-by-descent≧1であった家系の発端者を選定した。得られたデータはBioScopeソフトウエアで解析を行い、ナンセンス変異、アミノ酸置換を来す変異やスプライシング受容・供与部位の変異に注目して抽出を行っている。複数の患者で共通の遺伝子に存在する変異については、サンガー方による確認作業を順次行っているところである。
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