研究課題1) 悪性脳腫瘍患者(転移性脳腫瘍および悪性神経膠腫患者)に対して術前5-アミノレブリン酸(5ALA)を投与し、光線力学的診断(PDD)を行い腫瘍摘出を行った。いずれの腫瘍も術前画像所見(ガドリニウム造影MRI)で腫瘍は強く造影効果を受けており、脳血液関門が破綻していることが示唆された。蛍光を術中に確認して手術摘出サンプルより抽出したmRNAを用いて発現遺伝子プロファイリングを行った。ポルフィリン代謝にかかわる酵素群、PpIX(細胞内外輸送に関わるトランスポーター13遺伝子について検討したところ、copropor-phyrinogen oxidase(CPOX)のみが蛍光を全く示さない腫瘍に比して有意に強い蛍光を示す腫瘍で上昇していた。また摘出組織標本による検討ではそれぞれの腫瘍群でKi67染色陽性細胞に差は認めなかったが、CPOXに対する免疫組織染色でも強い蛍光を示す腫瘍で有意に陽性細胞が多く存在しした。以上よりCPOXが悪性脳腫瘍における5ALAによる蛍光強度差異に強く関連していることが示唆された。本研究では5ALAを用いたPDDの更なる応用につながるものと考える。すなわち、これまで蛍光を呈していなかった悪性脳腫瘍細胞群に対するアプローチを可能にする一歩となりえ、ひいては悪性脳腫瘍の機能、生命予後改善における手術療法の役割の拡大につながるものと考える。 研究課題2) GCSが発現するポルプィリン代謝およびトランスポーター関連遺伝子発現をghomaceHhnleの発現様式と比較したところABCG2トランスポーター遺伝子発現が有意にGCSで上昇していることが確認された。GSCに対する光線力学的診断、治療への足がかりになるものと考える。
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