研究課題
研究の目的:CILPトランスジェニックマウス(以下Tgマウス)を作成し、表現型の解析やin vivoにおけるCILPの役割を詳細に検討することで腰椎椎間板ヘルニア、椎間板変性の発症メカニズムの一端を解明したいと考える。方法:CILP Tgマウスの作成の方法は、軟骨特異的発現ベクターpNASSβ(COL11A2promoter、IVS1)を用い、このベクターにCILP遺伝子(C末にHA tagを挿入)を導入しマイクロインジェクションによってTgマウスを作成する。またこのTgマウスを用い、表現型を解析する。結果:CILP Tgマウスのlineの維持および繁殖遺伝子導入はPCR、mRNAはreal-time PCR法で確認し、CILP蛋白の発現解析は、HA抗体、N末、C末抗体の3種類使用し、これらでウエスタンブロット、免疫染色でTgマウスにおけるCILP蛋白の発現を確認できた。CILP TgマウスのMRI評価作成した各系統間ごとに脊椎椎間板をMRIで評価すると、Tgマウスの腰椎MRIT2強調画像において、腰椎椎間板の輝度はノーマルマウスと比べて低下していたことから、明らかな椎間板変性の進行が認められたと考えられる。CILP Tgマウスの組織学的評価椎間板の構造(髄核、線維輪)を、組織学的に確認すると、サフラニン-O染色にて髄核組織の染色性が有意にTgマウス群で低下していた。また各系統間のTgマウスとノーマルマウスで、腰椎レントゲン上の椎間板高の違いを有意に認めた。CILP Tgマウスの頚椎椎間板変性、ヘルニアモデルの作成マウスの頚椎に不安定性を導入すると頚椎椎間板変性、ヘルニアができることがわかっており、このモデルで、変性誘導後の頚椎椎間板が、各系統でどのように変性度合いが違うか評価した。すると有意にTgマウス群で椎間板変性が低下していた。
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