腰椎椎間板ヘルニアの自然退縮機序について、近年アレルギー疾患の炎症反応のイニシエーターとして注目されているサイトカインTSLPが、炎症細胞の遊走に作用していることに着目し、椎間板ヘルニア病態におけるTSLPの役割について研究している。 1.マウスから採取した椎間板臓器に対して、Smadシグナル伝達阻害剤を加えるとTSLPの発現が見られた。 2.人の手術サンプルを解析したところ、ヘルニアサンプルにはTSLPの発現が多く見られ、他方で腰椎変性疾患で固定術を施行された椎間板には多くは見られなかった。以上の結果から、椎間板組織に恒常性に発現するTGF-bは、これまでの報告にあるように軟骨組織の発達、維持だけでなく、正常状態において炎症反応を制御している可能性が示唆された。
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