研究の目的と結果 関節リウマチなどの炎症性疾患では、骨・軟骨破壊をきたすことから最終的にADLの低下を招く。我々は、マクロファージに標的をしぼった研究ではあるが、Shiga toxigenic Escherichia coliより精製されたトキシンで、HSP70シャペロンの1つであるGRP78を分解することで小胞体ストレス反応を引き起こす作用を持つSubtilase cytotoxin(Sub AB)をII型コラーゲンカクテルによって誘導される炎症性関節炎モデルマウスに投与し、関節炎を抑制することを報告した(J Immunol 2009)、という経緯から小胞体ストレスと破骨細胞の関与にも注目し研究を開始した。破骨細胞分化のin vitroモデルとしてRAW264.7とmouse骨髄細胞(MBM)にRANKL刺激するものを用いた。このモデルにおいてSubABで前処理しておくと破骨細胞への分化が抑制されることがTRAP染色により確認されている。 また、破骨細胞分化は、real-time PCR法によりRNAレベルでも抑制されていることが確認できた。 また、RAW264.7細胞においてSubABによる処理により、RANKの発現が抑制されるという結果を得ている。RANKからNFATclまでの間のシグナル伝達に関しては検討中である。また、In Vivoで、急性期関節炎モデルにおいて病理学的検討でも滑膜増生の減少が確認できている。現在慢性期モデルでの骨軟骨に対する評価を行っている。ヒトPBMCにおいても上記と同様のIn vitroの実験を行っているが、結果が安定していないため更なる検討を進めている。
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