研究概要 |
1神経保護活性評価:精製したラット小脳顆粒細胞精製後14日間の培養の後、NMDAによるストレス下での細胞死を、HAオリゴ糖処理により救済できるかどうかを検討した。NMDAストレスに先立ちHA2-12の各オリゴ糖により10μg/mlの濃度下で処理した。細胞死の判定はPI calcein AM染色を用いた。また培養上清中のLDH活性を吸光度分析し、細胞障害度評価を施行した。結果:HA2.4、特にHA4に神経細胞保護効果が見られた。2神経軸索突起伸張に対する効果:上記ラット小脳顆粒細胞を用い軸索突起伸張効果を検討した。各オリゴ糖10μg/mlでcoatしたスライド上に5.0×106個/mlの濃度で顆粒細胞の培養を24時間行った。4%PFAで処理後、神経細胞及び軸索の蛍光染色を行い写真撮影後軸索突起長の測定を行い定量した。結果:HAオリゴ糖は軸索伸長に対する作用を有さなかった。3組織学的検討:脊髄損傷後8週のラットを4%PFA環流処理し、脊髄組織を採取。スクロース処理の後、切片を20μmの厚さで作成した。本切片に対し、ミクログリア染色であるIba-1,活性化ミクログリア染色であるED-1をそれぞれ染色し、脊髄損傷中心部から頭尾側10mmの範囲で染色領域を測定した。結果:HA4投与群では損傷後2週においてIba-1陽性領域を減少させ、特にED-1陽性領域は損傷後1,2週目で有意に減少した。4CST(cortico-spinaltract)tracer:下行性の皮質脊髄路の神経再生評価を目的としトレーサー実験を行った。全身麻酔下で損傷8週後ラットの頭部正中よりBDAを注入し、その2週後に損傷脊髄周囲の切片を評価した。BDAで標識された神経繊維の分布を損傷部より頭側、尾側それぞれ10mmでの横断面において、BDA陽性繊維を定量し、HA投与群と非投与群の比較を行った。結果:HA4投与群では損傷部より尾側10mmでの横断面で有意にBDA陽性繊維が増加した。結語これらの結果はHA4投与によるラット脊髄損傷モデルの下肢機能回復が有意であったことの裏付けとなる。
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