骨格を扱う外科手術の安全性、正確性の向上のため、flat panel detector搭載モバイルCアームを導入し、手術中リアルタイムに高解像度の3次元X線画像を取得し評価する画像評価システムを確立し、その有用性、適応範囲を検証することが本研究の一つ目の目標である。従来型のイメージインテンシファイヤー搭載モバイルCアームとの3次元X線画像との画質比較を行うため、乾燥大腿骨にワイヤーを刺入したモデルを作成し、画像評価の優劣判定を、5人の検者の定性評価(6項目5段階評価、1.皮質骨の描出、2海綿骨の描出、3.関節面の描出、4.金属アーチファクトの影響、5.ワイヤー穿孔判定、6.臨床応用総合評価)にて行った。flat panel detector搭載モバイルCアームの画質の優位性を海綿骨の描出、関節面 の描出、金属アーチファクトの影響、臨床応用総合評価の3項目にて認めた。また本システムと連動できるコンピュータナビゲーションシステムを開発し、術中の骨格変形を追従できる自由度のきわめて高い次世代のコンピュータナビゲーションシステムを開発し、その臨床応用のための精度、実用性の検証を行うことが本研究の2つ目の目標である。撮像領域全体をカバーするように十字型に金属マーカーを配置した幾何学的ファントムを作成し、新規3D Fluoroscopic Navigationの精度が画像歪みの影響を受けないことを証明した。また乾燥骨盤と乾燥大腿骨を用い、骨盤、大腿骨手術の状況をシミュレーションし、新規3D Fluoroscopic Navigationの精度が臨床での使用条件下にても問題のないことも証明した。
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