研究課題
BP関連性顎骨壊死における骨吸収のメカニズムは明らかではない。そこで、BPが、間葉系幹細胞の免疫抑制能を低下させ、細菌感染による過剰な炎症が抑制できない為、炎症誘導性破骨細胞による骨吸収が誘導されているという仮説を検証する。本研究ではヒト骨髄間葉系幹細胞株を用いて、ビスフォスフォネート(BP)関連性顎骨壊死における破骨細胞分化に、骨髄間葉系幹細胞の機能低下が関与しているかどうか検討する。BPが、骨髄間葉系幹細胞の免疫抑制能の低下を介して、炎症性の破骨細胞分化を促進するか明らかにする事を目的とした。昨年度までに、炎症性破骨細胞分化に対して、間葉系幹細胞がOPGなどの発現を介して、調節している可能性を示した。また、BPの一種のrisedronateはTNFα-RANKLによる破骨細胞分化を顕著に抑制することを示した。当該年度は、以下の結果を得た。BP処理した間葉系細胞は、増殖に影響を受けないが、破骨細胞分化抑制作用を阻害された。さらに、ハイコンテントスクリーニングに使用されるArrayScanを用いて、破骨細胞分化関連転写因子であるNFkappaBやNFATc1が、それぞれ分化刺激15分と2日目で核内へシフトする事を確認した。これに対して間葉系幹細胞は、顕著な抑制作用を示さず、BP処理間葉系幹細胞でも影響は無かった。以上の結果は、BPが間葉系幹細胞の破骨細胞形成抑制作用を阻害する可能性を示した。
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10.1111/j.1742-7843.2011.00685.x