目的 NoncodingRNAであるMiRNA-146は、炎症性サイトカインにより発現が誘導され、炎症反応を調節している。本研究の目的は、関節炎マウスにおいて、合成miRNA-146の投与により、関節破壊を防ぐことである。 方法 8週齢雄DBA1/Jマウスを用いて抗II型コラーゲン抗体による関節炎マウスを作成し、明らかな関節炎が発症した後、合成2本鎖miRNA-146(20μg)をアテロコラーゲン50μlに溶解し、マウス尾静脈より投与した(実験群)。初回投与より1週間後、再投与した。初回投与より4週間後、堵殺し、後足のレントゲン評価とHE染色、TRAP染色、炎症性サイトカインの免疫染色による組織学評価を行った。対照群として、非機能性2本鎖RNAを投与した。 結果 レントゲン上、対照群は骨破壊を認めたのに対し、実験群では骨破壊が軽度であった。組織学的評価では、対照群は、著明な滑膜炎を認め、軟骨・骨組織が破壊されていたが、実験群では、骨・軟骨破壊は軽度であった。また対照群では骨破壊部にTRAP陽性細胞を多く認めたが、実験群では認めなかった。TNFα、IL-1β、IL-6の免疫染色により、実験群では、炎症性サイトカインの発現が抑制されていることがわかった。 考察 合成 miRNA-146の全身投与により関節炎マウスの関節破壊が抑制されることが示された。 MiRNA-146の抗炎症作用、破骨細胞分化抑制作用により、関節破壊が抑制されたものと考えられる。
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