研究概要 |
目的 non-coding RNAであるmicroRNA(miRNA)が、様々な疾患に関与していることが明らかとなっている。関節リウマチ(RA)においても、いくつかのmiRNAがその病態に関与していることが示されており、本研究の目的は、炎症に関与するmiRNAであるmiRNA-146や、アポトーシスに関与するmiRNA-15a、破骨細胞分化に関与しているmiRNA-223に関して、これらの合成miRNAを関節炎マウスに静脈注射し治療効果を検討することである。 方法 DBA1Jマウスを用いてコラーゲン関節炎を作製し、尾静脈からアテロコラーゲンと混合した合成miRNAを投与した。投与後4週で、レントゲン評価、組織学的評価を行った。 結果 合成miRNA-146を投与した群では、レントゲン上関節破壊が抑制されており、組織学的評価においても、関節面の破壊は軽度であった。In vitroでは、末梢血単核球からの破骨細胞分化誘導においてmiRNA-146を過剰導入すると破骨細胞分化が抑制され、また正常あるいは関節リウマチの滑膜細胞に炎症性サイトカインを添加し、miRNA-146を過剰導入すると、Cox2、MMP3の発現が抑制された。miRNA-15a,223を投与した群では、明らかな差は見られなかった。 考察 本研究結果より、miRNA-146の全身投与により関節破壊が抑制できることがわかった。しかし、滑膜炎が軽度残存しており、より効果的な治療成績を得るためには投与方法、量等、さらなる検討が必要である。
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