研究概要 |
実験1.sd候補遺伝子の第1,2エクソンをターゲティングベクターで適正に破壊できたと考えられるsd-ES細胞のクローンを8つ得る事が出来た。アグリゲーション法により、ノックアウトされたESクローンは全てキメラマウス作製に供した。実験2.実験1.で得られたノックアウトされたSd-ESクローンに対してCre/loxシステムを利用し、sd-alleleに対してlacZをノックインできたクローンを得た。実験3.胚生18.5日(E18.5)sd変異胚を用いて骨格標本を作製した。続いて、E9.0-E10.5のWT,Sdホモ接合体胚と脊椎形成にかかわるマーカー分子(Shh, Pax1, Uncx4.1, Paraxis)のプローブを使用したIn Situ Hybridization法を施行した。Sdホモ接合体は第6胸椎以下の中軸骨格が欠失していた。体節マーカー:Uncx、Paraxis、脊索、神経管底板マーカー:Shh、椎板マーカーPaxlを使用したISH法によって、Sdホモ接合体胚は、E9.5までに脊索が消失し、底板におけるShh発現は、第17体節レベル以下で消失し、椎板におけるPaxlの発現は第17体節レベル以下で消失していた。体節におけるUncx4.1, Paraxis発現には明らかな異常を認めなかった。上記の研究成果より、Sd候補遺伝子のノックアウトES細胞が得られたため、その表現型を確認する事で、このSd候補遺伝子がsd原因遺伝子かどうかを確定する根拠になる。また、その候補遺伝子の発現パターンをモニタリングできるlacZをノックインクローンも得た。加えて、Sd変異マウスにおける脊椎発生異常における分子イベントを明確にできた。Sd変異マウスは、貴重な脊椎奇形を持つ変異マウスであるため、上記研究成果による原因遺伝子の確定と機能解析は、脊椎疾患、脊椎発生の理解に多大な貢献をすると考えられる。
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