研究課題
女性変形性関節症患者は閉経後に急増するために、女性ホルモンとの関連が伺われるが、そのメカニズムの詳細な研究は存在しない。それを明らかするために、性ホルモン(エストロゲンおよびアンドロゲン)受容体の軟骨特異的ノックアウトマウスを作成し、それらのマウスの関節軟骨の発生、変性の過程における性ホルモンの役割を調べ、性ホルモンの軟骨代謝への影響を明らかにする。この結果をふまえて、性ホルモンのシグナルを修飾する薬剤の軟骨代謝に対する影響を検証する。全身でのERαノックアウトマウスは骨へのエストロゲンシグナルが入らないために骨粗鬆症を発症すると予想されたが、実際には骨粗鬆症を生じなかった。これはERα欠損のため代償的に上昇したテストステロンの影響であった。このことから、性ホルモンの軟骨への影響を調べるためには全身性の受容体KOマウスでは不十分であり、軟骨特異的KOマウスの作成が重要であること、およびエストロゲンのみならずアンドロゲンの作用も調べる必要があると考えられた。現在のところ、Col11-Creマウスと、ER-Floxマウスを掛け合わせ、type XIcollagenの発現する組織(軟骨)でERが除去されるマウス(軟骨特異的ERα-KOマウス)が作成できた。引き続き、軟骨特異的ERα-KOマウスにも早期から軟骨変性が生じるか検証するために組織学的評価を進める予定である。また、軟骨特異的ERα-KOマウスの膝関節の軟骨の変性と、卵巣摘出マウス、全身ERα-KOマウスの差違を明らかにする必要もあると考えている。
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Knee Sure Sports Traumatol Arthrosc
巻: Nov(Epub ahead of print)
10.1007/s00167-011-1734-3
Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc
巻: 19 ページ: 74-79
10.1007/s00167-010-1137-x