視床下部弓状核に存在するAgRPニューロンの骨代謝への影響を検討するために、ニューロン内転写因子として重要なPI3K系のPDK1とその下流に存在するFoxo1に注目した。AgRPニューロン特異的PDK1ノックアウトマウスを作成し、その骨代謝解析を行った。同マウスの大腿骨は骨量が低下し、骨長が低下していた。骨代謝マーカーの計測により、骨量低下のパターンは高回転型であった。組織標本においては骨形成パラメーターの低下を認めた。また、血液中のIGF1濃度とGH濃度が低下しており、下垂体のGH遺伝子発現と視床下部のGHRH遺伝子発現が低下していた。In vitroで同マウスの由来の骨髄間葉系幹細胞の骨外細胞分化・増殖脳に変化はなかった。AgRPニューロンのPDK1経路は、GHRH-GH-IGF1経路を介して骨代謝を制御することが示唆された。次に上記のノックアウトマウスのFoxo1をドミナントネガティブ化したところ、骨量および長管骨長は回復し、IGF1濃度は上昇した。AgRPニューロンによる骨代謝においてFoxo1が重要なシグナルの一つであることが示唆された。
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