【目的】神経因性疼痛は長期間持続する難治性の慢性疼痛であるが、痛み自体が主観的なものと捉えられることが少なくない。そこで我々は、定常状態では発現しておらず、慢性疼痛刺激状態下においてその発現が上昇するBradykinin Rcceptor B1(以下Bdkrb1)に着目した。B1受容体は神経傷害が生じ、慢性疼痛が生じる病態なるとB2受容体からサブタイプスイッチが起こり後根神経節などにおいてその発現が上昇すると言われている。本研究においてはBdkrb1遺伝子のプロモータ下にホタル発光酵素Luciferaseを発現する遺伝子改変マウスをBAC systemを用いて新規に作製し、慢性疼痛をホタルの発光酵素Luciferaseのシグナルで定量的に評価する系を構築することを試みた。 【方法】Bdkrb1遺伝子のfirst exonが含まれるBAC plasmidとして、RP23-341F5クローン(約200kbp)を同定した。このクローンに相同組換えにより、蛍光タンパク質遺伝子VenusとLuciferaseを同時に発現する新規レポーター遺伝子ffLucをBdkrb1の開始codon部分に導入した。このBdkbr1のプロモータ下にffLucを発現する改変遺伝子を切り出し、blastcyst injectionを施行し、遺伝子改変マウスを作製した。Genotypingの結果Founderとして4ラインが得ることができた。この各ラインと野生型マウスに対し、坐骨神経部分損傷モデルであるSeitzer modelを左後肢に作製(損傷側)し、右後肢はSham側とした。手術前と手術後2週の時点で発光のライプイメージングを行った。 【結果】これらの各ラインのマウスのライブイメージングの結果、4ライン中1ラインのマウスにおいて損傷側での坐骨神経近位部及び腰椎傍脊柱部付近に発光が認められた。
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