破骨細胞分化に必須である膜タンパク質RANKLの切断によりRANKL-RANKの相互作用およびRANK下流シグナル活性が制御され、破骨細胞分化が調節されていることを明らかにするため、細胞が生きている状態でRANKとRANKLの結合を可視化する系を構築し、解析した。bimolecular fluorescence complementationはそれぞれ相補的な蛍光タンパク質の一部同士が結合し、蛍光を発することによりタンパク質同士の相互作用を検出する系であり、今回はRANKおよびRANKLにそれぞれmonomeric Kusabira-Green2のN端側部分あるいはC端側部分のいずれかが融合したタンパク質を発現するコンストラクトを作製した。それぞれのコンストラクトを別々のHEK293細胞に導入したのちにそれらの細胞を混合して培養したところ、RANKとRANKLが結合し得る条件下においてのみ蛍光を検出可能であり、in vitroでコンストラクトの有用性を明らかにすることが出来た。ただしその蛍光シグナルは微弱で、しかも発現にむらがあるため、トランスジェニックマウスを作成する前にその条件検討と基礎実験を行った。 一方、RANKにRANKLが結合した時のRANK下流シグナル系活性化を検出するために、Cathepsin K活性を検出する蛍光プローブCatK680(ViSen社)の有用性を検討したが、成熟破骨細胞には蛍光が見られなかった。そこで、CathepsinKプロモーター活性依存的にCreリコンビナーゼを発現するマウス、CAGプロモーターと蛍光タンパク質Venusをコードした配列の間にloxP配列に挟まれたストップ配列が挿入された遺伝子を持つマウスを入手し、RANK下流シグナルが活性化した破骨細胞特異的に蛍光を発するマウスを作出すべくこれら2種のマウスの掛け合わせに着手した。
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