研究課題
中枢神経系の再生治療は、脊髄損傷に対する運動機能回復など基礎医学の段階では有用性が報告されている。しかし、ヒトの治療に役立てるためには、解決しなければならない問題がいくつかあり、異常な痛みの反応であるallodyniaの発症はそのひとつである。(Nat.Neurosci.2005)。本研究はfunctional MRIにより神経因性疼痛に関する中枢神経メカニズムを明らかすることで、疼痛ケアを含めた新規治療法の開発に結びつけることを目的としている。知覚に関する末梢神経線維(C, Aδ, Aβ線維) の断面積、不応期などの違いを利用し、異なる周波数の刺激を与えることで各線維を選択的に評価できる(Mol Pain 2005)。本手法をfunctional MRIに応用することで、通常では痛みを感じない触圧覚を司るAβ線維を選択的に刺激し、脳内の活動を観測した。触圧覚を司るといわれるAβ線維を主に脱分極させる2000Hzの刺激では、対側の一次感覚野にのみ賦活を認めた。また、一次疼痛を伝導するAδ線維を主な標的とした250Hzの刺激では対側の一次感覚野、二次感覚野、痛みに関する領域である前帯状回皮質に賦活を認めた。さらに、二次疼痛や温冷覚を支配するAβ線維を主に対象とする5Hzの刺激では、一次感覚野、前帯状回皮質に賦活を認めた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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