1.35名の健康成人を対象とした研究を行った。疼痛刺激開始前に、STAI(State-Trait Anxiety Inventory)を用いて、不安の状態を測定した。疼痛は、熱刺激、電気刺激、cold pressor testにて、右手背、左手背、右足背、左足背にランダムに与え、疼痛閾値時間を測定、cold pressor testにおいては、疼痛耐性時間の測定も行った。目標症例数40名に到達していない。呼吸困難感により左下肢の疼痛を緩和する可能性が示されており、他部位の痛みへの影響について明らかにする予定であるが、現在までの解析では、一定の傾向は認められていない。呼吸トレーニングを用いた新たな鎮痛方法の開発にあたって重要であり、今後も継続が必要である。 2.当院緩和ケア対象病床入院患者2名を対象とし、オピオイドを含めた薬物使用時の呼吸状態について、経皮血液ガスモニターを用いて、酸素飽和度(SpO2)、二酸化炭素分圧、呼吸数を測定した。現時点では、オピオイドに加えて睡眠薬を使用した場合、高用量のオピオイド使用した場合に呼吸数の減少が認められたが、SpO2の低下、tcPCO2の上昇は認められていない。目標症例数30名に達していない。オピオイド製剤は痛みおよび呼吸困難の両方に影響を与える薬剤であり、副作用の一つに呼吸抑制がある。現時点では、呼吸数の減少と呼吸抑制について一定の見解は得られないが、呼吸困難により疼痛の緩和が得られた場合の鎮痛薬の安全な使用方法の検討に際し、重要であると考えられる。
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