研究概要 |
1.オピオイドを長期使用すると,悪性腫瘍の増大をきたすことが報告されているがその詳細は不明である。他方,オピオイドを長期投与すると短期投与時とは逆に,一次知覚神経からのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の脊髄や末梢へのCGRPやSP放出量が増加する。CGRPはCGRP受容体を介してケラチノサイトのcAMPの増加,PKAの活性化,extracellular signal-regulated kinase (ERK)をリン酸化させ,血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor : VEGF)を増加させ、血管新生に重要な分子であり、血管新生により悪性腫瘍の増大をきたす機序が想定される。 2.2010年度は、CRL-1642 (American Type Culture Collection, Lewis lung carcinoma)を継体培養し、オピオイドのin vitroでの効果を検討し、in vitroにおいてはオピオイド自体が腫瘍細胞の増大に及ぼす影響が少ないことを確認できた。In vivoにおける腫瘍の増大とモルヒネ投与に関する検討を開始したが、オピオイド投与群では食欲不振等が生じ、体重増加が非オピオイド群との間で有意差を生じたため、現在、モルヒネの長期投与量の調整中である。 3.今後は腫瘍増大を画像として確認し、VEGFとの関連性についての検討を加えたい。
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