蘇生後の管理の重要性は、近年注目を集めている。そのなかで低酸素脳症における脳浮腫は、神経学的予後に多大な影響を与えるため、大きな問題である。そこで、蘇生後低酸素脳症における脳浮腫の発症機序に果たす水チャネル・アクアポリン4(AQP4)の役割を明確にし、AQP4を標的とした新規治療薬や治療法の開発を目指していく。 AQP4は主にアストロサイトに発現しており、培養アストロサイトにおけるAQP4の発現調節機構を再度確認した。転写因子NF-κBの阻害薬SN-50およびp38MAPKの阻害薬SB203580の投与により、アストロサイトにおけるAQP4発現の低下を確認した。アストロサイトを低酸素チャンバーに入れ、低酸素-再酸素化を行うとAQP4は急速に増強するが、SN-50とSB203580はその発現を抑制した。 心房細動誘発による心肺停止・蘇生モデルの確立を行うことができた。現在、AQP4の発現を免疫染色により確認していることろである。加えて、ラット脳梗塞モデルにおいて、AQP4の発現を確認したところ、虚血部位の周囲にAQP4の発現増強を確認することができた。このモデルに対して、脳浮腫抑制効果が期待される五苓散を投与したところ脳浮腫が抑制される傾向にあったが、さらなる検討を要する。今後、心肺停止・蘇生モデルに対しSN-50とSB203580を投与し、AQP4発現抑制ならびに脳浮腫抑制効果を確認していく予定である。
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