本研究は術後疼痛時におけるDセリン(NMDA受容体グリシン結合部位の内在性リガンド)の中枢神経系感作および下行性疼痛抑制系への作用を明らかにすることを目的とする。すなわち、術後痛モデルを用いて脊髄内・脳内のDセリン合成酵素のセリンラセマーゼ(Srr)と分解酵素のDアミノ酸酸化酵素(DAO)それぞれのmRNA量、タンパク質量、内在性Dセリン量が術後痛の発症に伴ってどのように変化するのかを明らかにすることを目的とする。本年度は、術後痛モデルラットを作成し、疼痛の程度を解析した。後肢足底を筋膜まで切開、筋肉を剥離し、皮膚を5-0ナイロン糸にて2カ所マットレス縫合を行い、疼痛レベルは足底に対してvon Freyフィラメントを曲がるまで押しつけて動物が足をあげる機械刺激の閾値とラットが回避するまでの時間を測定した。コントロール群に比べ有意に疼痛が発現するモデルラットを作成するプロトコールを作成した。
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