研究概要 |
下行性疼痛抑制経路におけるグルタミン酸受容体の機能について明らかにする目的で、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の内因性リガンドであるD-セリンとDL-α-amino-3-hydroxy-5-methylisoxazole-4-propionic acid (AMPA)受容体選択的拮抗薬YM-872(2,3-dioxo-7-(1H-imidazol-1-yl)-6-nitro-1,2,3,4-tetrahydroquinoxalin-1-yl]-acetic acid )を脳室内投与したWistar系雄性ラットを用いて、ホルマリンテストに対する効果を検討した。D-セリン単独、およびYM-872単独投与群ではそれぞれ用量依存的に鎮痛効果が現れた。鎮痛効果が現れた濃度では行動異常(運動神経抑制、睫毛反射、耳介反射、アロディニア)や鎮静効果が現れないことを確認した。D-セリンとYM-872の併用投与により、相加的に鎮痛効果が増強された。これらの結果より、上位中枢におけるグルタミン酸受容体の下行性疼痛抑制経路における機能はNMDA受容体とAMPA受容体では異なることが示唆された。今後は下行性疼痛抑制経路におけるNMDA受容体とAMPA受容体の作用部位を明らかにすることを行いたい。
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