研究課題/領域番号 |
22791457
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 助教 (30386156)
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キーワード | GDNF / 青斑核 / 神経障害性疼痛 / ノルアドレナリン |
研究概要 |
脳幹に位置する下行性ノルアドレナリン神経は上位中枢による脊髄の痛覚情報処理調節を担う重要な神経であり、難治性の慢性疼痛である神経障害性疼痛の緩和において重要な標的と考えられる。青斑核のノルアドレナリン神経にはNK-1受容体が強く発現しており、坐骨神経結紮により神経障害性疼痛を発症したラットにおいても発現に変化はなかった。青斑核へのサブスタンスPの投与は正常ラットにおける痛覚閾値に影響を与えずに、神経障害性疼痛を抑制した。サブスタンスPの投与による神経障害性疼痛抑制効果は青斑核においてNK-1受容体拮抗薬を前処理することにより阻害された。更に、この鎮痛効果は脊髄へのアドレナリンα2受容体拮抗薬yohimbineの投与によっても抑制された。以上から、サブスタンスPは下行性ノルアドレナリン神経を活性化することで、脊髄におけるアドレナリンα2受容体の活性化を介して神経障害性疼痛の緩和に結びつくことが示された。また、神経障害性疼痛モデルラットにおいて、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)及びそのfamilyに属するリガンドの青斑核における効果を検討した。サブスタンスPを用いた実験により神経障害と同側の青斑核の神経を活性化することで鎮痛作用が得られたため、GDNFfamilyのリガンドはあらかじめ同側の青斑核を標的として留置したカニューレを介して微量投与し、青斑核特異的な作用を検討した。神経障害性疼痛の指標としては機械的アロディニア及び熱性痛覚過敏を調べた。更に、GDNFfamilyのリガンドの効果を様々な用量において検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
青斑核に位置する下行性ノルアドレナリン作動性神経を活性化することによる神経障害性疼痛緩和作用を確認し、GDNFfamilyリガンドの作用を順調に検討している。
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今後の研究の推進方策 |
GDNFfamilyリガンドの受容体発現に基づいて細胞内情報伝達経路などを検討していく。
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