研究課題
本研究の目的は、手術で得られた所属リンパ節検体に関して、免疫組織学的手法を中心に用いて、詳細に観察することで、通常のHE染色のみでは評価困難な原発巣(seed)の転移樹立能を、その土壌(soil)側から評価した新しい病理診断法を樹立することである。まず、尿路上皮癌における微小リンパ節転移の頻度について、サイトケラチン染色を用いてリンパ節転移の有無を再評価する研究を行った。腎孟尿管癌に関しては通常のHE染色でリンパ節転移なしと診断された症例の約一割で微小リンパ節転移を認めることを明らかにし、論文を発表した(Abe et al.EJSO 2010)。また現在、腎孟尿管癌に対し積極的に行われる腹腔鏡下腎尿管全摘除術においても、開腹手術と同等のクオリティでリンパ節廓清が安全に施行できることを明らかにし、論文発表した(Abe et al.Journal of Endourology 2011)。その他、尿路上皮癌におけるリンパ管新生関連因子の発現量、所属リンパ節におけるリンパ管新生に関して解析中である。リンパ管新生関連因子の発現量に関しては、リアルタイムPCR法を用いて、リンパ管新生促進因子として知られるVEGFC,DのRNA発現量に関して、尿路上皮癌においては、リンパ節転移の頻度が低いとされる腎細胞癌にくらべて亢進している知見を得ている(未発表データ)。またリンパ管新生の程度に関しては、D2-40抗体を用いた免疫染色法でリンパ管密度と臨床病理学的特徴との関連を評価中である。
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Journal of Endourology
巻: (In press)
Journal of Urology
巻: 184(3) ページ: 883-7
European Journal of Surgical Oncology
巻: 36 ページ: 1085-1091