研究概要 |
Fn14,TWEAK発現は、ホルモン応答性前立腺癌細胞株LNCaP細胞に低発現、ホルモン不応性前立腺癌細胞株PC-3,DU145細胞に高発現していた。rTWEAK刺激によって、PC-3細胞のFn14発現が時間依存的、濃度依存的に増強された。Fn14 siRNA処理によって、PC-3,DU145細胞の浸潤能、遊走能がControl siRNA処理に比較して有意に低下した。rTWEAK刺激したPC-3,DU145細胞は、浸潤能が有意に増強された。Fn14 siRNA処理したPC-3細胞は、Control siRNA処理したPC-3細胞より増殖能が有意に低下し,apoptosisが有意に亢進した。Fn14安定高発現PC-3/Fn14細胞は、PC-3/Mock細胞より増殖能が有意に亢進した。Fn14 siRNA処理したPC-3細胞は、Control siRNA処理したPC-3細胞よりMMP-9の遺伝子発現、活性化MMP-9の産生が有意に低下した。一方、rTWEAK刺激によって、PC-3細胞は、MMP-9の遺伝子発現、活性化MMP-9の産生が有意に亢進した。PC-3/Fn14細胞はPC-3細胞に比較し、4倍くらいの浸潤能を示し、またMMP-9特異的な阻害剤の処理によって浸潤能が有意に低下した。PC-3/Fn14 Xenograftは、PC-3/Mock Xenograftより有意に大きく、またFn14,MMP-9の発現も有意に亢進していた。癌細胞の横隔膜浸潤モデルの解析では、PC-3/Fn14は、PC-3/Mockに比べて有意に高い浸潤能を示した。112例の前立腺癌全摘標本におけるFn14の解析では、Fn14高発現群(12例、10.7%)では、中発現(61例、54.5%)、低発現(39例、34.8%)より非再発生存期間が有意に短かった。しかし、血清中のTWEAK,の濃度と肥満度(BMI)は相関はなかった。さらに、前立腺癌全摘標本におけるFn14の発現も肥満度(BMI)との相関はなかった。以上の結果より、TWEAK-Fn14シグナルはMMP-9シグナルを介してホルモン不応性前立腺癌の細胞増殖、浸潤能を制御すると考えられる。また、前立腺癌上皮におけるFn14発現は患者の予後に影響する可能性がある。TWEAK-Fn14シグナルは、前立腺癌の治療のターゲットになる可能性がある。
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