前立腺癌に対するheat shock protein90(以下HSP90)阻害の抗腫瘍効果を検討するため、HSP90のN末作用性阻害剤17-allylaminogeldanamycin(以下17AGG)およびC末阻害剤Epigallocatechin-3-gallate(以下EGCG)を3種類の前立腺癌細胞LNCaP、PC-3、DU145に作用させ、細胞増殖、アポトーシス誘導の変化をin vitroで検討した。培養した3種の前立腺癌細胞にそれぞれ17AAGを0nM、100nM、1uM、10uM、EGCGを0uM、50uM、100uM、200uMの濃度で組み合わせて添加し24時間後にATPアッセイで細胞増殖抑制効果を確認した。17AAG、EGCGとも濃度依存性に細胞増殖が抑制され、併用では相加的な細胞増殖抑制が確認された。同様に培養した3種の前立腺癌細胞に17AAGを1uM添加したもの、EGCGを100uM添加したもの、両者を添加したものを24時間後にフローサイトメトリーでアポトーシスの割合を測定した。両者ともアポトーシスを誘導するものと予測していたが、結果はEGCGではアポトーシスが誘導されたものの、17AAGではほとんどアポトーシスがみられなかった。リアルタイムPCRによるHSP90のmRNAの測定も行ったが、EGCGでは濃度依存性にmRNA量が相対的に低下していたのに対し17AAGでは相対的に増加していた。 フローサイトメトリーの結果はこれまでの諸家の報告と異なる結果でもあるため、今後実験系の再確認とウェスタンブロットによるタンパク量の変化の測定によって抗腫瘍効果を確認していく予定である。
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